QuadCubeは、3D空間を10m立方体で管理する新しい空間モデルです。地球上の空間をLLQuad → LLAxis(10m)→ 観音面(1m)という階層構造で管理し、LiDAR観測を地球座標系に直接写像することで、
- 従来SLAMの高い計算負荷
- 地図の破壊や不整合
といった問題を根本から回避します。
空間モデルの階層構造
QuadCubeは、現実世界をコンピュータが扱いやすい単位に分割するため、次の3階層で空間を管理します。
LLQuad
地表面の緯度経度格子
地球全体を緯度経度の格子で区切る最上位レイヤーです。
地球規模の空間管理の基盤となります。
LLAxis(約10m)
QuadCubeの基本単位
地球全体を 約10mグリッド で管理する中心単位です。LLAxisは
- センサー観測
- 地図情報
- 移動体ログ
を紐づける 最小の空間責任単位 として機能します。この構造は、デジタルツインを実現するための空間OSの基本単位となります。
観音面(約1m)
LiDAR観測の最小構造
1つのLLAxisには 約100枚の観音面 が存在します。観音面は、LiDARビームが落ちる 約1m単位の観測面であり、環境形状を記録する最小構造となります。
この階層構造により、
- 地球規模のデータ管理(LLQuad / LLAxis)
- 1m精度の環境認識(観音面)
を 同一モデルで扱うことが可能になります。
LiDAR観測の地球座標写像
QuadCubeでは、LiDAR観測を次の情報として扱います。
- 方位角(az)
- 距離(ds)
- ビーム属性(BEAM_PRECISE など)
初回観測は BEAM_PRECISE(基準アンカー) として記録され、後続観測はこのアンカーと比較されます。この方式により
- 過去地図を破壊しない
- 観測事実に基づいて地図が成長する
- 重いSLAM最適化が不要
という 安定したマッピング構造が実現します。
Seam-First Mapping
接合優先マッピング
従来のSLAMは、地図全体を最適化するため計算負荷が大きく、組込み環境では重いという課題があります。QuadCubeではSeam-First Mapping(接合優先方式)を採用しています。処理は次の順序で行われます。
- 既知観音面との接合
- 過去BEAM_PRECISEとの比較
- 方位角一致率・距離一致度・面一致度を評価
- 未知観音面を生成
この方式により
- 軽量処理
- 高速処理
- 破壊しない地図生成
が可能になります。
GRDB
Global Range DataBase
QuadCubeの観測データはGRDB(Global Range DataBase) に格納されます。
GRDBの特徴
- 地球座標系による統合管理
- 10mグリッド単位でデータ保存
- LiDAR観測データの蓄積
- 再観測による検証・補正
複数の移動体(車・ロボット・ドローン)が観測したデータを地球規模で統合できる構造を提供します。
GeoLoop
地球ループ座標
GeoLoopは、地球表面の位置を
N(North)座標
E(East)座標
の2軸のみで表現する循環型座標モデルです。緯度方向を 0°〜180°の単一ループとして再構成することで、南北方向を連続した座標として扱います。GeoLoopはGRDBの基準座標系として地球全体のグリッド構造を統一します。
技術的特徴
QuadCubeは次の特徴を持つ空間認識基盤です。
- SLAMに依存しない軽量処理
- 観測事実のみを扱う安定した地図生成
- 過去地図を破壊しないアンカー構造
- 地球座標系によるグローバル管理
- 自動運転・ロボット・デジタルツインへの適用
QuadCubeは、地球全体を階層的に管理し、10m単位の基準グリッド(LLAxis)で空間を整理することで、現実世界をOS的に扱える空間基盤を実現します。
補足技術
GRDB(Global Range DataBase)
地球座標系で測域データを統合管理するデータベース。
補正前・補正後データを併存管理し、再現性と検証性を担保します。
Boxcel Strider
GNSS位置と進行方向
- 0°
- ±45°
- ±135°
の 5方向代表ビームを用いる軽量位置補正方式です。組込み環境でも動作するQuadCubeの位置補正モジュールです。
SLAM設計
360°を 1°単位に正規化し、
- 偶数ビン:最小距離
- 奇数ビン:最大距離
を交互に保持します。この構造により、計算量の増大ではなく 環境形状の安定性を優先する設計となっています。